サステナブルという言葉を耳にすることが多くなりましたが、サステナブルファッションはまだまだ知名度は低いのではないでしょうか。近年はSDGsなど、環境に配慮した持続可能な取り組みが注目されていることから、サステナブルファッションにも注目が集まっています。本記事では、サステナブルファッションの概要やSDGsとの関係、サステナブルファッションへの取り組みなどについてご紹介します。
サステナブルファッションとは
サステナブルファッションとは、原材料の調達から生産、流通、着用、廃棄までのサイクルに置いて持続可能であることを目指し、地球環境やファッションに関わる人や社会に配慮した取り組みのことを指します。
ファッション産業は、製造のためのエネルギー使用量やライフサイクルの短さなどから、環境負荷が大きいと国際的な問題になっています。
たとえば原材料を調達する段階では、下記のような環境負荷がかかっています。
・天然繊維(コットンなど)の環境負荷:栽培時の水消費、化学肥料、染色などによる水質汚染や土壌汚染など
・合成繊維(ポリエステルなど)の環境負荷:石油資源の使用、工場でのCO2排出など
原材料調達から製造段階までで排出される環境負荷の総量
・CO2排出量 約90,000kt
・水消費量 約83億㎥
・端材等排出量 約45,000t
さらに化学物質による水質汚染が加わるとされています。染色における水質汚染としては世界で二番目に水を汚染する産業です。
これを服1着に換算すると、CO2排出量は約25.5㎏、水消費量は約2,300ℓになるとされています。
服を作るための製造過程ではCO2が排出されます。さらに原材料の植物の栽培や染色などで大量の水が使われ、余った生地などは廃棄されています。このように服1着作るだけでも多くの資源が必要で、環境負荷が大きくなっています。そのため、衣服の生産から廃棄にいたるまでのサステナブル(持続可能)なファッションへの取り組みが急速に広がることとなりました。
大量生産・大量商品の現状
国内における衣服の供給量は増加していますが、衣服1枚あたりの価格は年々安くなっているとされます。大量生産・大量消費が拡大し、衣服のライフサイクルの短期化することに廃棄される量が増えていると考えられています。
環境省によると、1人あたりの年間(平均)の衣服消費・利用状況は以下の通りです。
・購入枚数 約18枚
・手放す服 約12枚
・着用されない服 約25枚
手放す服よりも購入枚数の方が多いため、年間で1回も着ていない服が25着もあることになります。
サステナブルファッションとSDGsの関係
SDGsの中の一つ、目標12「つくる責任、つかう責任」はサステナブルファッションに関係する目標とされています。
目標12のターゲットは以下のように定められています。
・持続可能な消費と生産の10年計画を実行するため、先進国がリーダーとなり開発途上国の状況も考えながらすべての国が行動する。
・2030年までに天然資源を持続的に管理し、効率よく使えるようにする。
・2030年までに店舗や消費者のところで捨てられる食料などを半分に減らす。さらに生産者から店舗の流れの中で食料の廃棄などを減らす。
などが掲げられています。
サステナブルファッションに関する取り組み
サステナブルファッションを実現するためには、衣服を製造・販売している企業と使用する消費者、双方の取り組みが必要とされています。
企業の取り組み
企業では循環型のモデルを実現するため、生産工程で廃棄されていた繊維を少なくしたり、色落ちしにくいデザインや素材の開発などを行っています。さらに、着なくなった服を回収しやすい仕組みづくりやリサイクル技術の開発、製品に新たな付加価値を持たせて再生させる「アップサイクル」などの取り組みが行われています。
消費者の取り組み
消費者はまずサステナブルファッションについて知ることが大切とされています。サステナブルファッションとはなにかを整理し、実践や情報発信することが重要です。たとえば以下の取り組みです。
・今持っている服を長く着る
・リユース(再利用)でファッションを楽しむ
・本当に必要かどうか見極めて購入する
など身近なことから始めることが推奨されています。
環境に配慮するなら再生可能エネルギー
さらに環境に配慮したいなら、再生可能エネルギーを使ったプランを提供している新電力会社を選ぶのがおすすめです。再生可能エネルギーは、太陽光・水力・風力・バイオマスなど、化石燃料を使わずに発電されたエネルギーのことです。二酸化炭素などの温室効果ガスを排出しないため、環境にやさしいといわれています。こうしたプランを選べば、日常的に環境へ配慮できます。
新電力会社への切り替えは、インターネットから簡単に申し込むことが可能です。手間も少ないため、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。
まとめ
サステナブルファッションという言葉は、まだ日本ではあまり耳にしない言葉です。しかし、消費者ができる実践方法は「服を大切に長く着る」「リユースを利用する」など身近なものが多いため、取り入れやすいのではないでしょうか。またさらに環境に配慮したいなら再生可能エネルギーを選ぶのもおすすめです。ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
出典:環境省「サステナブルファッション」