近年、エシカル消費という言葉が使われるようになりました。エシカルとは、「論理的な」「道徳的な」という意味ですが、エシカル消費にはどのような意味があるのでしょうか。
本記事では、エシカル消費の概要や取り組み、事例、個人が取り組めることなどをご紹介します。
エシカル消費とは
エシカル消費とは、人や社会、地域、環境に配慮した消費行動のことを指します。一人ひとりが社会の課題に気づき、日々の買い物などを通じて、自分は何ができるのか考えてみることがエシカル消費の第一歩とされています。エシカル消費は、SDGsのゴール12に関連する取り組みです。消費者庁は主に以下への配慮を掲げています。
人や社会への配慮
毎日身に付けている服や食べ物は、手元に届くまでに多くの人が関わっています。そして、原材料の多くを生産している発展途上国では、安い賃金で働いており、貧困に苦しんでいる人がいます。その中には、学校に通えない子供や、私たち先進国で暮らす人々が当然だと思っていることの様々なことが叶わない人々がいます。私たちが積極的に買い求める「安い商品」は、弱い立場にある生産者の犠牲の上に成り立っていること、地球環境を蔑ろにしている可能性があります。
商品を選ぶ時には、裏側に隠されたこうしたストーリーに思いを巡らせることも大切とされています。人や社会に配慮された商品を積極的に選ぶことで、より多くの人が持続可能な生活を選べる可能性があります。たとえば、以下のような商品があります。
・フェアトレード認証商品
・売上の一部が寄付になる商品
・障がい者支援につながる商品
フェアトレードとは、開発途上国の原料や製品を適切な価格で継続的に購入する仕組みのことです。これにより開発途上国の生産者や労働者の生産力や経済状況の向上を目指しています。フェアトレード認証商品には、認証ラベルが付けられているので、確認してみましょう。日本では、チョコレート、コーヒー、コットン製品などの製品が多いです。
地域への配慮
最近では、遠方で生産された商品でもインターネットを通じて、どこでも好きなだけ購入できるようになりました。しかし一方で、全国ではその土地ならではの産物が作られていたり、地域社会が育まれたりもしています。簡単で便利に購入できるのは魅力ですが、地域の振興も大事と考えられています。いわゆる地産地消という考え方です。地元の本屋、八百屋、肉屋など、地元の商店を積極的に使用することで、地元を応援することにもつながるでしょう。地産地消を心がけることで、無駄な輸送が発生せず、環境にもやさしくなります。
環境への配慮
エシカル消費は、環境への配慮も大切とされています。大量生産や大量消費、大量廃棄の暮らしにより、地球温暖化や海洋汚染などが発生しています。生態系が破壊されると、エネルギー資源が減少し、異常気象が発生して農作物への被害なども出ています。環境破壊や地球温暖化、海洋汚染と聞くと、スケールが大きすぎて自分には関係のない話と思いがちですが、自分には関係のない遠い話と考えるのではなく、一歩踏み出すことが求められています。
わたしたちにできるエシカル消費
エシカル消費は難しいことはなく、身近な行動を変えるだけでも良いとされています。たとえば、以下の行動がエシカル消費につながります。
買い物の時の行動
・エコ商品を選ぶ
・マイバックを使う
・資源保護の認証がある商品やCO2削減の工夫をしている商品を選ぶ
・無駄な買いだめをせず必要な量だけを買う
・地元の産品を購入する
・食品のロスを減らす
など
買い物以外の行動
・マイボトルを利用する
・ゴミの分別を徹底する
・社会的問題に目を向ける
・使い捨てプラスチックの使用を減らす
・省エネや節電につながる行動を心がける
など
これらの行動をすでに実践している人も多いのではないでしょうか。一人ひとり自分ができることを無理せずに続けていくことが、持続可能な社会の形成に貢献すると考えられています。
再生可能エネルギーを選ぼう
さらに環境に配慮するなら、再生可能エネルギーで発電したプランを扱った新電力会社への切り替えもおすすめです。2016年4月1日より、電力会社や料金メニューを自由に選べる「電力自由化」が始まり、さまざまな料金プランが誕生しています。
新電力会社の中には、再生可能エネルギー由来の電気を提供している会社もあります。再生可能エネルギーは、太陽光を含めた水力・風力・バイオマスなどの、化石燃料を使わずに発電されたエネルギーのことを指します。二酸化炭素などの温室効果ガスを排出しないため、環境にやさしいエネルギーです。こうしたプランを選べば、日常的に環境に配慮できるでしょう。
まとめ
エシカル消費と聞くと、難しく感じるかもしれません。しかし、マイバックを持参したり、ゴミの分別を徹底したりなど、日常生活に取り入れやすい行動も、エシカル消費となります。肝心なのは、一人ひとりが当事者意識を持ち、自分ができる行動から始めていくことが大切です。また普段何気なく使っている電気を、再生可能エネルギーに変えることも、エシカル消費につながると考えられています。再生可能エネルギーを採用している新電力会社が増えていますので、切り替えを検討してみてはいかがでしょうか。