環境破壊などの環境問題は野生動植物へも影響を与えるといわれています。地球温暖化などにより、世界では多種多様な生き物が急激に絶滅しているとされています。生き物の絶滅が進めば、人間の生活への影響や生存も危ぶまれています。本記事では、地球温暖化による野生動植物への影響や、わたしたちへの生活への影響、個人でできる対策などをご紹介します。
地球温暖化による野生動植物の生態系への影響
IUCN(国際自然保護連合)によると、世界中の全評価種の27%以上にあたる4万種類以上の動植物が絶滅の危機に瀕しているといわれています。その内訳は、以下のように発表されています。
・両生類 約41%
・ほ乳類 約26%
・爬虫類 約21%
・鳥類 約13%
・サメ・エイ類 37%
・造礁サンゴ類 約33%
・甲殻類の一部 約28%
・ソテツ類 約63%
・針葉樹 34%
絶滅の危機に瀕している日本の動植物
日本でも多くの野生動物が絶滅の危機に瀕しています。環境省の発表によると、ほ乳類は約23%、爬虫類は約31%、鳥類が約13%、両生類が約33%とされています。
また植物にも大きな危機が訪れています。日本には樹木や草花など約7千種類もの植物が存在しています。その内の約4割の約2,900種類は日本にしか生息していない植物といわれています。しかし、こうした豊かな植物の約4種に1種が絶滅の恐れがあるとされています。
日本の野生動植物の生態系が危機にさらされている原因
ではなぜ日本の野生動植物の生態系は絶滅の危機にさらされているのでしょうか。ここでは、危機の原因と考えられているものをご紹介します。
人間による開発
1つ目の原因として考えられているのが、人間による開発です。戦後の経済成長に伴い、日本各地で原野を切り開き道路や工場、団地などを建設しました。また干潟を埋めコンビナートを建設したり、森林を伐採してゴルフ場にしてきました。
そこにいる生き物は住みかを追われ、逃げられなかった生き物は絶滅するしかありませんでした。さらに工場や家庭から出る排水によって、水質が悪化し、魚介類や藻類なども影響を受けています。
過度の捕獲や採取
2つ目の原因は、過度の捕獲や採取です。たとえば、ニホンオオカミやトキなどは人間に追い立てられたことが原因で絶滅したと考えられています。さらにクマガイソウなどの人気のある花は盗掘が相次ぎ、自生地から姿を消し始めています。
外来生物や有害な化学物質
3つ目の原因は、外来生物や化学物質などの影響です。人間によって日本国外から持ち込まれた動植物が、地域固有の生き物や生態系にとって脅威になるケースもあります。特に隔離された島などに外来生物が入り込むと、天敵がいないため大繁殖し、固有種に壊滅的な被害をもたらします。
さらに、ダイオキシンなどの化学物質には生き物にとって強い毒性を持つものもあります。すぐに害があるものもあれば、体内に蓄積され徐々に悪影響を及ぼすと考えられているものも多いです。
地球温暖化の影響
4つ目は地球温暖化による影響です。地球温暖化が進めば、寒い地域や高地にしか住めない動植物たちは、危機を迎えるでしょう。1998年前後に起きた、サンゴの白化は海水温の上昇が原因と考えられています。
さらに、これまで日本では繁殖できなかった昆虫が進出したり、これまで見られなかった生き物が日本近海にまで押し寄せるようになったのも、地球温暖化が原因の1つと考えられています。
個人でできる取り組みとは
環境問題に対処するには、小さなことからでも一人ひとりが関心を持つことが大切です。ここでは個人ができる取り組みについてご紹介します。
正しい自然観を身に付ける
日本人は、生き物や植物が多く存在することが「自然が豊か」と感じがちです。しかし、そこにいる野生動植物が在来種なのか、正しい生態系が維持されているのかということを考えなくてはいけません。たとえば、「環境のため」といい川に魚などを放流するイベントが行われていますが、気づかない内によく似た外来種を放してしまうケースもあります。こうした間違いを起こさないためにも、正しい自然観や正しい知識を持った人に教えを乞うことが大切なのです。
再生可能エネルギーを選ぶ
個人ができる手軽な取り組みの1つは、再生可能エネルギー由来の電気を選ぶことです。
2016年より電力会社や料金メニューを自由に選べる「電力自由化」が始まりました。自由化後は、多種多様な業種が参入したため、さまざまな料金プランが誕生しました。そのため、消費者は自由に料金プランを選べるようになりまました。
その中には再生可能エネルギーを利用して発電された電気などもあります。再生可能エネルギーは、温室効果ガスの1種である二酸炭素を排出しない、エコなエネルギーとして注目されています。個人でできる、環境問題に関心のある方は、まずは新電力会社の再生可能エネルギーへの切り替えを考えてみてはいかがでしょうか。
まとめ
現在、多くの野生動植物が絶滅の危機に瀕しています。こうした動植物を絶滅の危機から救うには、一人ひとりが環境問題に関心を持ち、身近な対策を行うことが大切とされています。正しい知識を身に付ける、再生可能エネルギーを選ぶなど、簡単にできることから始めてみてはいかがでしょうか。