カーボンニュートラルとは?考え方を解説します

カーボンニュートラルとは?考え方を解説します

近年、さまざまな場所で「カーボンニュートラル」について耳にする機会が増えたのではないでしょうか。「なんとなく意味は分かっているけど詳しくは分からない」という人も多いと思います。
そこで本記事では、カーボンニュートラルの概要や意味、考え方などについて解説します。

カーボンニュートラルとは

カーボンニュートラルとは「温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させること」です。
2020年10月、日本政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体で見た時にゼロにする、カーボンニュートラルを目指すことを発表しました。

「全体で見た時にゼロ」とは、「排出量から吸収量と除去量を差し引いた合計をゼロにする」ことを意味します。つまり、排出を完全に抑えることは現実的に難しいため、排出せざるを得なかった分については同じ量を森林などによる人為的に「吸収」または「除去」することで、実質的ゼロを目指しましょう、ということです。
そのため、カーボンニュートラルを実現するためには、温室効果ガスの排出量を削減するだけでなく、吸収作用の森林保全なども行う必要があるとされています。

なぜカーボンニュートラルが注目されているのか

なぜ近年、カーボンニュートラルが注目されるようになったのでしょうか。その背景には、地球全体の気候危機が挙げられます。2017年時点で、世界の平均気温が約100年前と比較して約1℃上昇したとされています。現在の状態が今後も続けば、さらなる気温上昇も予想されています。
気温上昇は、さまざまな災害を引き起こすと考えられています。気象災害と気候変動問題の関連性を明らかにすることは難しいとされていますが、気候変動に伴って、今後大雨や猛暑のリスクが高まるとされています。

カーボンニュートラルの実現に向けた取り組み

カーボンニュートラルはどのように実現すれば良いのでしょうか。2050年までに目標を達成するためには、以下のような取り組みを行うとしています。

省エネやエネルギー効率の向上

CO2排出を低減するためには、エネルギー消費量を減らすことが重要とされています。節電のほか、エネルギー効率の高い製品に買い替えることによっても、エネルギー消費が抑えられます。

CO2排出原単位の低減

省エネだけでなく、CO2排出量を減らすことも大切です。例えば、電力部門では、再生可能エネルギーや原子力発電など、化石燃料を使わない発電方法が考えられます。またカーボンサイクルなどを併用した火力発電なども、カーボンニュートラルのためには必要とされています。

電力部門以外では、エネルギーを自動車などの動力に用いたり、産業部門や家庭部門で熱を利用したりする際にもCO2が排出されます。そのため、使用する燃料を低炭素のものにしたり、水素やバイオマス、合成燃料などに転換したりすることでCO2削減が期待できるでしょう。

非電力部門の電化

非電力部門で脱炭素化を行う際には、技術的に難しく、コストがかかります。そのため、電力部門と比べるとCO2を削減するのは難しいと考えられています。少しでも削減するためには、排出原単位の小さい電力をエネルギーとして利用したり、二酸化炭素排出量を小さくしたりなどが求められています。

省エネ設備

工場や公共施設、住宅、オフィスなどに省エネ設備などを導入することも、CO2削減につながると考えられています。高断熱・高気密などの高効率設備や、太陽光発電が導入された建物を建てることで、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロになることを目指しています。
さらに省エネや創エネに加えて、建物の解体の際にもできるだけCO2を排出しないような取り組みも行われています。住宅のライフサイクルでCO2の収支をマイナスにしようとする動きは、LCCM(ライフサイクル・カーボン・マイナス)住宅とも呼ばれています。

再生可能エネルギーを使った電力への切り替えも検討してみよう

個人でもできることがあれば良いなと思われた方におすすめしたいのが、新電力会社への切り替えです。新電力会社は、電力自由化以降に登場した新しい電力の小売事業者のことを指します。
新電力会社の電気代が安い理由の一つは、従来の電力会社と比べて、顧客を絞って提供していることです。顧客を絞ることで、大きな設備に投資しなくても電力提供が可能となりました。
また、電力会社が増えたことで価格競争が起き、新規顧客獲得のために、さまざまなプランが登場しました。
その中には、再生可能エネルギーを利用して発電された電気などもあります。個人でできる、カーボンニュートラルへの取り組みを探している方は、まずは新電力会社へと切り替えを考えてみてはいかがでしょうか。

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カーボンニュートラルについて知ろう

日本のみならず、世界中でカーボンニュートラルの取り組みは行われています。これは、将来により良い地球を残していくために、欠かせない取り組みとされています。国や自治体、企業規模で行われる取り組みはもちろん、個人でもできることがあります。「個人では何も変わらないのでは」と感じてしまいがちですが、カーボンニュートラルについて知ることも第一歩です。まずは、できることから始めてみてはいかがでしょうか。

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