水素は次世代エネルギーと呼ばれており、化石燃焼に依存しないエネルギーとして注目されています。しかし「水素社会」と聞くと、一体どんな社会なのか気になる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、水素社会の概要や水素エネルギーのメリット・デメリットなどをご紹介します。
水素社会とは
水素社会とは、自動車など輸送の動力源として、あるいは発電のエネルギー源として、日常生活や経済活動などにおいて、水素を使うことに定着した社会を指します。現在の日本は、石油や石炭、天然ガスなどの化石燃料が、エネルギーの大部分を占めています。
「環境エネルギー政策研究所」によると、2020年度の化石燃料による年間発電電力量の割合は約74.9%と、前年度と比較しても依然高いレベルとなっています。
そこで、二酸化炭素を排出しない環境にやさしい再生可能エネルギーである水素が注目されるようになりました。
カーボンニュートラルの鍵とされている
水素は多様な資源から製造することが可能です。海外のみならず国内でも製造するなど、資源の調達先を多様化させることで、調達リスクを低減させることができます。
また水素は、水の電気分解や化石燃料と二酸化炭素の貯留・再利用技術を組み合わせれば、カーボンフリーなエネルギーとして活用できます。そのため、今後日本でカーボンニュートラルを実現するための鍵ともいわれています。
現在では、水素社会の実現に向け、水素を作って運び、貯めて使う取り組みが行われています。
水素エネルギーのメリット
水素エネルギーは従来の資源と比較して、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは水素エネルギーのメリットをご紹介します。
さまざまな資源から作れる
水素は以下のような、さまざまな資源からエネルギーを作り出すことができます。
- 石油
- 化石燃料
- メタノール
- エタノール
- バイオマス
- 廃プラスチック
こうした資源は、海外、国内の多くの場所に存在しているため、水素は生成しやすいエネルギーとして注目されています。
二酸化炭素を排出しない
水素エネルギーは、二酸化炭素を排出しないことから「脱炭素化社会」を実現するために、欠かせないエネルギーであるとされています。水素発電は、水素自体を、熱量電池を使って燃やし、空気中の酸素を結び付けて発電します。この発電方法の場合、二酸化炭素を排出しないため、脱炭素化に貢献できます。
ただし、製造段階で化石燃料を使った場合は二酸化炭素が排出されます。そのため「脱炭素化」を考えるなら、バイオマスなど再生可能エネルギーを利用する必要があります。
非常時にも活用できる
水素は、水を電気分解して生成します。水から生成された水素は、保存・運搬が可能です。そのため、自然災害などが原因で停電などが起きた際にも、保存した水素を使って発電することが可能になります。
特に日本は地震や台風などの災害が多い地域といわれているので、非常時に活用できる水素エネルギーは大きなメリットになると考えられています。
水素エネルギーのデメリット
水素エネルギーを実用化するには、まださまざまな課題があるとされています。
ここでは水素エネルギーのデメリットについてご紹介します。
コスト面での課題がある
現状では、水素エネルギーを作るための環境が整っていないため、従来の発電方法で作られた電気の方がコスト面では有利でしょう。また水素自動車などを実現する場合にも、従来のガソリン車と変わらない程度の水素価格の設定が求められます。
認知度や理解度がまだまだ低い
水素エネルギーは、石油や石炭、天然ガスなどの化石燃料を比較すると、一般的な認知度や理解度は低いままです。広く普及されるためには、一般人にとっても使いやすい環境を整える必要があるでしょう。
再生可能エネルギーを選ぶ方法もある
個人でも「なにか環境にやさしいことをしたい」と考えている方は、再生可能エネルギー由来の電気に変えてみてはいかがでしょうか。
2016年4月1日以降、電力が自由化されたことにより、電力会社を自由に選べるようになりました。電力自由化されたことで、多くの会社が新規に電気小売事業に参入しました。その結果、価格競争が起き、新電力会社と呼ばれる新規参入企業が顧客獲得のため、さまざまな工夫を凝らした電気料金プランを提供するようになりました。
従来よりも電気料金が安価になるプランのほか、再生可能エネルギー由来の電気プランを提供している新電力会社もあります。再生可能エネルギーとは、太陽光・水力・風力・バイオマスなどの、化石燃料を使わずに発電されたエネルギーです。
温室効果ガスをあまり排出しないため、環境にやさしいとされています。こうしたプランを選べば、日常的に簡単に環境に配慮することにもつながります。
新電力会社への切り替えは、インターネットから申し込めば簡単に行えます。現在利用している電力会社への解約手続きは必要なく、切り替え日になると自動で切り替わります。料金シミュレーションを用意している企業も多く、手間も少ないため、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。
個人でもできることから始めてみよう
水素エネルギーは、二酸化炭素を排出しないクリーンなエネルギーであることから、脱炭素化社会の実現に向けて注目されています。まだコスト面や認知度などの問題で課題はありますが、さまざまな取り組みが行われているため、進展が期待されます。
身近な所では、環境にやさしい再生可能エネルギー由来100%の電気を提供している新電力会社もあります。まずはできることから始めてみてはいかがでしょうか。