「土用」は季節の変わり目
「土用の丑の日には、ウナギを食べよう!」というキャッチコピーを聞いたことがある人は多いと思いますが、土用の意味を知っていますか?
季節の変わり目を示す約18日間が「土用」
土用の丑の日は、立春・立夏・立秋・立冬の前、年に4回あります。
2022年の土用期間は、
冬土用:2022年1月17日~2月3日
春土用:2022年4月17日~5月4日
夏土用:2022年7月20日~8月6日
秋土用:2022年10月20日~11月6日
となっています。
でも、どうして土用というのか、不思議ですよね。
古代の中国では、この世界のすべては「木」「火」「土」「金」「水」の5要素でできているという五行思想がありました。
しかし、ぐんぐんと育つ木が「春」、燃える火は「夏」、実りの金である「秋」、静まりかえった水の静けさを持つ「冬」と、四季をイメージごとに当てはめていくと、土が一つ余ってしまうのです。
そこで土は「種を受け止めて、芽が出るまで守る」という土の働きが着目され、4分割されてそれぞれの季節の前に割り振られました。
2022年の土用夏の丑の日は、7月23日と8月4日です。
「丑の日」は干支が由来
丑の日の「丑」は、「子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥」の干支が由来とされています。
十二支というと「年単位のもの」というイメージがあるかもしれませんが、年と同様に日にも存在し、12日ごとに繰り返していきます。
この計算でいくと、18日間ある土用の期間中には、丑の日が1日、または2日存在することになり、これが「土用の丑の日」となっているのです。
「丑」の字には「紐」や「絡む」という言葉と同じ意味を持ち「種の中で芽が育まれている状態で、まだ伸びていない」というニュアンスが含まれています。
発芽前の状態にある種には、栄養が重要です。
このことから、土用の丑の日は「体をいたわり、精がつくものを食べよう!」と言われるようになったとされています。
種になぞらえて、滋養のつくものを食べようとした昔の人たちは、季節の変わり目は体調を崩しやすいことを知っていたということですね。
土用の丑の日にウナギを食べる理由
土用の丑の日には、ウナギを食べるイメージがありますが、なぜウナギなのでしょうか。
ウナギを食べるようになった理由には、さまざまな説があります。
発明家の平賀源内が、ウナギ屋さんから「ウナギがなかなか売れない」と相談され「本日土用の丑の日」という張り紙を出したらどうか?と提案したのが、ことの始まりともいわれており、これが一番有力な説とされているようです。
丑の日だから、同じ「う」の字で始まるウナギを食べると、元気良く夏を乗り越えられるとされていたようですね。
ウナギ以外も!土用に食べると良いとされるもの
ウナギ以外にも、土用丑の日に食べると良いとされている食品はたくさんあります。
「う」の字がつく食べ物
ウナギのほかにも、土用の期間中にはウナギと同様に「う」の字がつくものを食べると良いとされています。
きゅうりやニガウリ、スイカなどの瓜系の食べ物や、うどんや梅干しなどがその一例です。
黒色の食べ物
ウナギも黒色ですが、しじみや黒ゴマ、黒豆、ひじきといった黒い食べ物も良いとされています。
茄子も、黒い食べ物として土用丑の日にはよく食されています。
土用がつく食べ物
「土用」という言葉がつく食べ物も、土用期間に食すと良いとされています。
夏の土用に食べるあんころ餅の「土用餅」や、土用のころに産み落とされた卵である「土用卵」、産卵を控えて旨味も濃縮され、栄養価も高い土用時期のしじみである「土用しじみ」などが、その一例です。
栄養価の高いものが多いのは、体調を崩しやすい季節の変わり目だからこそ、しっかりと滋養をつけて夏を乗り切ろうという先人の知恵といえるのではないでしょうか。
春夏秋冬の土用で食すもの
夏の土用について見てきましたが、そのほかの季節にもおすすめとされる食べ物があります。
「土用戌の日」と呼ばれる春の土用は「い」のつく食べ物を
春の土用は戌の日で「い」のつく食べ物を食べるのが良いとされています。
「いちご」や「いわし」「いか」などがおすすめです。
「土用辰の日」と呼ばれる秋の土用は「た」のつく食べ物を
土用辰の日は「た」のつく食べ物がおすすめとされていて「玉ねぎ」などがおすすめです。
「土用未の日」と呼ばれる冬の土用は「ひ」のつく食べ物を
土用未の日は「ひ」のつく食べ物が良いとされ「ひらめ」や「ひらたけ」などがおすすめです。