最近、アップサイクルという言葉をよく目にするようになったと感じられている人も多いと思います。
アップサイクルとは、捨てるはずの商品にアイデアを加えることで、新しいものに生まれ変わらせることです。
今回は、アップサイクルについて、詳しく解説します。
アイデア次第で製品を生まれ変わらせる「アップサイクル」
アップサイクルという言葉は、リサイクルとよく似ていますが、実は大きく異なります。
リサイクルは、不用品を回収して再生し、原材料として有効活用することを意味します。
しかし、リサイクルをするためには製品を溶かしたり、砕いたりして資源に戻すために多くのエネルギーを使いますし、それほど大きな手を加えないリサイクルでも、たとえばタオルなどを雑巾にリサイクルするケースのように、価値が下がってしまうケースもあります。
ちなみに、雑巾の例のようにもともとの価値よりも価値の低いものに作り替えられるものを「ダウンサイクル」といいます。
ダウンサイクルも、モノに手を加えて生まれ変わらせるという意味はアップサイクルと変わりませんが、付加価値は求めないというのが大きな違いです。
ダウンサイクルの場合は「どのような形でも、もう1回使う」という点に意義があります。
アップサイクルは、廃棄する予定であったものにアイデアで価値をつけて、新たなる製品へと生まれ変わらせます。
素材の特徴や形状を活かして、新しく生まれ変わらせるため「クリエイティブ・リユース(創造的再利用)」とも呼ばれており、最大の特徴は製品としてアップグレードするのが基本である点にあるでしょう。
「製品の価値を高める」から、「アップ」サイクルという表現になるのです。
リメイク+クリエイティビティというイメージですね。
アップサイクルが注目される理由
SDGs的な観点からも、近年アップサイクルは注目を集めています。
SDGsの17の「あるべき姿」のうち、アップサイクルとかかわりが深いものが12番目に挙げられている「つくる責任・つかう責任・すべての人の意識と行動をシフト」というものです。
エネルギーを使わずに、より良いものに生まれ変わらせるアップサイクルは、地球への負担を抑えることにも役立ちます。
このあるべき姿を実現するために具体的な目標とされているターゲットを見ると
「2030年までに天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用を達成する」
「2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する」
「2030年までに、人々があらゆる場所に置いて、持続可能な開発及び自然と調和したライフスタイルに関する情報と意識を持つようにする」
となっています。
サスティナブルな世界を実現するために、世界中のすべての人々に対して意識を変えるよう、呼びかけていることがわかりますね。
アップサイクルは、SDGs実現のために有効な手段のひとつといえるでしょう。
具体的なアップサイクルの例
具体的には、どのようなものがアップサイクルされているのでしょうか。
たとえば、ダンボールからお財布を作ったり、使わなくなったアイシャドウをクレヨンにしたりといったアップサイクルも行われています。
今ある建物を取り壊して新しく建築するのではなく、リノベーションをして活用する方法も、アップサイクルのひとつです。
コロナ禍で見直された「モノを持たない暮らし」
新型コロナウイルス感染症の影響で、人々の考え方には大きな変化がありました。
その結果、環境や地域、人や社会に配慮し、必要以上にモノを持たないシンプルな暮らしが好まれるようになった傾向にあります。
また、日本が古来より持つ「もったいない精神」という伝統的な価値観も、見直されました。
もったいない精神とは、モノを大切にし、無駄にしないという考え方ですね。
その考え方に、アップサイクルはとてもよくマッチしたのです。
「MOTTAINAI」という言葉は、今では世界中に広まり、持続可能な循環型社会実現に向けた取り組みの一役を担っています。
自由な精神でアップサイクルをもっと楽しもう
SDGsの実現というと、社会規模で取り組むイメージがあるかもしれませんが、大切なのは個人の意識です。
アップサイクルされた商品を購入する、自分の手でアップサイクルを試みるなど、個人でできることはたくさんあります。
難しく考える必要はありません、ぜひ楽しみながらアップサイクルに取り組んでみてくださいね!