EdTechとは、「科学技術(Technology)を活用した教育(Education)」という意味を持つ、アメリカ生まれの造語です。
学生を対象とした学習支援システムや、教師が利用する授業支援システム、企業の研修やプログラミング、英会話などをオンラインで学ぶサービスなどが、その代表例といえるでしょう。
ありとあらゆる教育機関で、すべての世代が対象となっているサービスであり、新型コロナウイルス感染症の影響で、一気に世の中に浸透したサービスでもあります。
EdTechの歴史とは
EdTechは、先ほども述べた通り2000年代にアメリカで登場しました。
日本においても2012年ころから普及しはじめ、新型コロナウイルス感染症の影響で一気に浸透し、今や市民権を得ています。
科学技術を活用した教育というと、インターネットやデジタルメディアを用いて学習する「eラーニング」をイメージされる人も多いかもしれません。
しかし、EdTechは、クラウドやスマートデバイスを利用したものとなります。
日本におけるEdTechの歴史
日本においては、2011年に文部科学省が「教育の情報化ビジョン」を公表しています。
内容としては、以下のようなものとなっていました。
○学習者のニーズに柔軟に対応可能な学習者用デジタル教科書の実現
○指導案や学習履歴が共有できる教員用の支援システム
○学生の学籍番号や出欠席、成績などが共有できる校務支援システム
参照:文部科学省『「教育の情報化ビジョンの公表」について』
いつでも、どこでも学習できるEdTechの普及には、2019年に文部科学省が発表した教育改革案GIGAスクール構想により、1人1台の学習用端末配備が完了したことも追い風となりました。
EdTechのメリット
EdTechを活用することにより、以下のようなメリットが期待されています。
思考力や主体性を身に付けることができる
EdTechを用いることで、生徒や受講生の意見や考えを一覧にしたり、自分の意見を自分が発信したいタイミングで共有することが可能となります。
受け身の学習ではなく、自主的に学びに対するアクションを起こしやすくなるのです。
好きな時間に、好きなところで学ぶことができる
EdTechの活用により、遠方にいる先生の授業を受けることや、同じ教室にいなくても同じ授業を受けることができるようになりました。
新型コロナウイルス感染症の影響で、学校が休校になった際にもEdTechを活用したオンライン授業や、オンラインによるグループ学習などが広まりをみせ、注目されています。
EdTechによる世の中の変化
それでは、実際にEdTechは各教育機関においてどういった変化をもたらしているかを見ていきましょう。
学校教育の変化
日本における学校教育は、学習指導要領で定められた内容に沿って進められます。
定められた学習内容を生徒にわかりやすく教えるためのツールとして、また、生徒同士の考えを共有したり、教師に質問したりする方法としてEdTechが活用されています。
学習塾の変化
EdTechを導入し、個別指導を実施している学習塾も増えています。
対面で授業を行う場合は、講師1人に対し受講生は多くても数百人まででしょう。
しかし、EdTechを活用すれば、千人規模での授業も可能です。
生徒側からしても、わかりやすい講師の授業を受けることができるようになります。
社会人教育の変化
社会人教育やリカレント教育でも、EdTechは注目されています。
人生100年時代を迎え、ライフステージに合わせてキャリアチェンジしながら生きていくことが求められるようになりました。 現在の仕事をしながら、子育てをしながら、次なる活躍の場を求めて学ぶためには、時間や場所を選ばずに学習可能なEdTechは大変適しています。
SDGs目標4「質の高い教育を、みんなに」を実現するEdTech
SDGsの目標4には、すべての子どもが質の高い教育を受けられるようにすること、そして、大人も十分に知識とスキルを身に付けられるようにすることが掲げられています。
この目標は子どもだけでなく、大人の学びなおしなども含まれていることが特徴となっています。
すべての人が、性別や年代に関係なく平等で質の高い教育を受けられるようにすること、つまり世界中の教育格差を失くすことが、目標として定められているのです。
そこに一役買っているのが、EdTechです。
従来型の授業では、教師や講師が生徒、受講生の前に立ち、黒板などを使って授業する一斉授業というものが一般的でした。
しかし、タブレットやパソコン、スマートフォンなどの端末を使用するEdTechを活用することにより、学習者が世界中のどこにいても授業を受けることが可能となったのです。
日本、そして世界中の人たちに平等な教育機会を与えてくれるであろうEdTechのこれからに、期待したいですね!