水質汚染の主な原因や現状は?環境問題に関心を持つわたしたちができること

水質汚染の主な原因や現状は?環境問題に関心を持つわたしたちができること

日本で日常を過ごしていると、あまり水質汚染を身近に感じることは少ないかもしれません。しかし、日本はもちろん世界中のさまざまな場所で水質汚染が問題となっています。海や河川が汚染されると、人間にはどのような影響があるのでしょうか。本記事では、水質汚染の主な原因や現状、環境問題に関心を持つわたしたちができる対策についてご紹介します。

水質汚染の主な原因や現状

環境問題の一つである水質汚染を改善するには、まず原因を認識することが大切とされています。ここでは、水質汚染の主な原因をご紹介します。

産業排水

水質汚染の原因の一つとされているのが、工場などから排出される「産業排水」です。日本では、産業排水に含まれている有害物質などが原因で、公害などの社会問題が起こっていました。かつて水俣病やイタイイタイ病が大きな問題になりましたが、これらの原因は産業排水です。
そのため、現在では産業排水に関する規定が設けられており、工場側は有害物質を除去しています。しかし、世界では産業排水による問題はいまだ深刻で、世界を挙げての対策が求められています。

生活排水

2つ目の原因として考えられているのが、生活排水です。生活排水とは、台所、お風呂、洗濯などの日常生活で発生する排水のことです。かつての日本では、産業排水が主な水質汚染の原因でした。しかし現在では、産業排水には厳しい規制が課せられているため、生活排水が水質汚染の主な原因とされています。

農林水産省の「汚水処理人口普及状況」によると、令和2年度末における全国の汚水処理人口普及率は約92.1%、汚水処理施設の処理人口は約1億1,637万人と発表されています。
一方で、約990万人がいまだに汚水処理施設を利用できていません。特に人口が5万人未満の市町村において、汚水処理施設の人口普及率は約81.9%で、全国平均から大きく後れを取っているとされています。

このことから、日本でもいまだに生活処理水が未処理のまま河川に放流されている地域が多くあることが分かります。

気候変動

気候変動も、水質汚染の原因とされています。気温上昇、豪雨の増加、渇水なども水質に影響を及ぼしているとされます。たとえば、公共で使用される河川や湖沼などの「公共用水域」で、水中の溶存酸素濃度が低下したことによる水質悪化や、アオコの異常発生などが挙げられます。溶存酸素濃度とは、大気中から水に溶け込んだ酸素量のことです。濃度が低下すると、水棲生物の窒息死など生態系への悪影響が考えられます。気候変動は、地球温暖化による影響も問題視されており、温室効果ガス削減などへの取り組みも必要です。

日本で行われている水質汚染の対策

では、日本ではどのような水質汚染への対策が行われているのでしょうか。ここでは主な対策についてご紹介します。

全国一律の対策

日本では1970年に「水質汚濁防止法」が公布されました。水質汚濁防止法によって、汚水を排出する施設(工場・事業場など)から公共用水域へ排出される水に対して、全国一律の基準が定められています。さらに、汚濁発生源が集中する地域など、閑居基準を達成することが難しい水域では、都道府県の条令によって全国一律の基準よりも厳しい排水基準が定めることが可能とされています。

特定水域における対策

  • 湖沼
    閉鎖性の水域である湖沼や海域は、汚濁物質が蓄積しやすいとされています。湖沼に対しては、水質汚濁防止法による規制だけでは不十分という理由で、1984年に「湖水水質保全特別措置法」が制定されました。これにより、下水場・浄化槽の整備、COD・窒素・りん削減のための負荷量規制などの施策などが行われています。
  • 閉鎖性水域
    内湾、内海などの閉鎖性水域も、汚濁物質が蓄積しやすいとされています。現在、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海が指定水域とされています。指定水域ごとに削減目標などが定められており、下水場・浄化槽の整備、COD・窒素・りん削減などの施策が行われています。

私たちができること

水質を改善するためには、一人ひとりの行動が欠かせないとされています。ここでは、わたしたち個人ができる対策についてご紹介します。

食べ残しをしない

家庭でできる対策として挙げられるのが、できるだけ食べ残しをしないことです。たとえば、使用済みの天ぷら油やマヨネーズなどはなかなか水中で分解されず、水質汚染につながってしまいます。そのため、食べきれる分だけ作るように心がけましょう。

キッチンでの工夫

キッチンでは、雑排水が下水道や合併浄化槽へ過剰な負荷にならないよう、調理で出たゴミや食べ残しなどは三角コーナーで使用するくず取りネットなどでまとめて、流さないようにしましょう。また、食器や鍋などの油汚れはキッチンペーパーなどで軽く拭いてから洗うと水質汚染改善だけではなく、家庭のシンクを油で汚すことなく食器洗いも楽になります。

再生可能エネルギーを選ぶ

「個人で手軽にできること」として挙げられるのが、再生可能エネルギープランを提供している新電力会社を選ぶ方法です。再生可能エネルギーとは、太陽光・水力・風力・バイオマスなど、温室効果ガスをあまり排出しないエネルギーのことです。化石燃料を使わずに発電されたエネルギーのため、環境問題に配慮したい方に向いています。こうしたプランを選べば、電気を使いながら環境問題に配慮できるでしょう。

新電力会社への切り替えは、インターネットから簡単に申し込むことが可能です。現在、利用している電力会社へ解約手続きは必要ありません。契約日になると自動で切り替わるので、手間も少ないため、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。

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まとめ

日本では特に生活排水における水質汚染が深刻とされています。一人ひとりが食べ残しをしない、油汚れを浮き取るなど、個人での対策も大切とされています。また、さらに環境問題への関心を持っている方は再生可能エネルギーへの切り替えを検討してみてはいかがでしょうか。

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