病院やクリニックを経営する際、コスト削減は売上と同じくらい重要視する必要があります。経費を抑える方法について実施しているつもりでも、削減効果が小さいものばかりで、なかなか出費が減らないケースは多いものです。
ここでは、病院やクリニック経営にポイントを絞り、大きな経費削減が見込める方法についてわかりやすく紹介しています。消耗品費や人件費、固定費など、カテゴリー別に取れる対策の理解を深め、診療の質を落とさず利益率アップに繋げる際の参考にしてください。
病院・クリニック経営でかかる大きな経費は？
飲食店や小売店であれば、販売する商品の仕入れや値付けに焦点を当てて経費削減を考えますが、病院やクリニック経営では、以下のような経費が大きくなりがちです。
- 人件費
病院やクリニックの経営において、人件費が占める割合はかなり大きなものです。適正なクリニック経営では、スタッフを1名増やすにあたり、およそ2,000万円の売上が必要になるといわれています。
たとえば、年間で6,000万円の売上がある場合、望ましいスタッフの数は3名、ということになるでしょう。 病院であれば看護師2名、歯医者であれば歯科衛生士と歯科助手に加え、事務スタッフがいる場合、それ以上雇うと利益率に影響が出る可能性が高まるのです。 - 薬
院内で処方する薬剤についても、病院経営では大きな経費となるでしょう。一定の種類やストックが必要となるうえ、期限の管理も必要です。
薬は決して安いものではないため、無駄を抱えてしまわないよう注意する必要があるでしょう。 - 固定費
地代家賃や電気代などの固定費も必要経費であるとはいえ、毎月発生するものであるため、削減できるコストとして意識することが大切となります。 無駄な電気代がかかっていないか、契約時の家賃は適正価格であるかを適宜見直し、可能であれば削減できる可能性を探っていくことをおすすめします。
このほかにも、通信費や備品、消耗品といった経費は存在しますが、削減にかける手間や時間と効果を考え、経費削減に優先順位をつけて解決していくことが大切となるでしょう。
病院・クリニック経営での経費削減方法
病院やクリニック経営で発生する経費のうち、大きな効果が期待できる削減方法には、以下のようなものが挙げられます。
アルバイト・パート採用を検討する
「スタッフを増やしたいが、人件費はできるだけ抑えたい」という場合、フルタイムの正規職員ではなく、アルバイトやパート採用で人員確保する方法を検討してみましょう。
スタッフ全てをパート採用にすると、サービスや技術面での低下が懸念されます。売上を大きく上げることはできないが、業務のボリューム的にもう1名増やしたい、という場合には、混雑が予想される時期や時間帯だけに限定してアルバイトを採用することで、既存スタッフの負担を軽減できる場合があるのです。
アルバイト勤務でも、結婚や子育てなどで時短勤務を希望しているベテラン看護師や歯科助手は少なくありません。アルバイトやパート採用でも、お互いにとってメリットとなるなら、積極的に検討する価値があるでしょう。
薬の在庫管理を徹底する
過去に廃棄が出たり、多くのストックを抱えてしまったりした場合、薬をリストアップして、在庫として持つ種類を絞り込むことが大切です。 期限の管理と併せて、効能の似た種類の在庫は持たない、在庫数の上限を設定してこまめに発注するなど、在庫管理が徹底できているかチェックしてみましょう。
契約内容や電力会社の見直し
不動産の時価は、社会情勢やインフラ整備などによって年々変化しています。長年契約している場合は、建物自体の劣化などで、適正な賃料となっていない場合もあります。家賃について見直したいなら、オーナーや不動産会社へ一度賃料について交渉してみるのもよいでしょう。
また、電気代を大きく下げる方法として、契約している電力会社や契約プランを変えてみる方法もおすすめです。
家庭での電気使用量に比べると、機材を多く使用する病院やクリニックでは、大きな電力の消費量が発生します。通常、電気代は電力を使うほどにkWh（キロワットアワー）あたりの単価が高くなる仕組みとなっているため、電気代が経費に占める割合は意外と膨らみがちです。
電力供給の自由化により、現在では基本料金がかからないプランや、どれだけ電気を使っても一律の単価で使えるタイプなど、新電力会社によってさまざまなサービスが提供されています。 見積りやWEBシミュレーションなどを使い、新電力会社へ切り替えた場合で、どの程度コストが変わるか比較してみるとよいでしょう。
まとめ
病院やクリニック経営では、人件費や薬、固定費の見直しなど、経費削減を検討するポイントを絞って対策を取ることが大切です。
特に電気代のプラン見直しは、求人や家賃の交渉よりも気軽に実施できるうえ、大きな経費削減が見込めます。
今まで電気代のプランについて検討したことがないのであれば、見積りやシミュレーション機能などを活用し、これを機会に契約内容を見直してみてはいかがでしょうか。
もちろん新規開業時など初めて電力会社と契約する際にも対応できる新電力会社もありますので是非検討してみてください。
