夏の夜空を美しく彩る花火は、日本の夏の風物詩ですね。
この掛け声と同様に、花火大会にはさまざまな由来があることを知っていますか?
今回は、花火大会の由来について、解説します。
花火大会の起源とは
ではまず、花火大会の起源を見ていきましょう。
打ち上げ花火は1733年、江戸時代に隅田川で開催された水上祭がはじまりとされています。
飢饉や疫病で多くの死者が出ていたその当時、死者を弔うために打ち上げられたのが、花火大会の起源です。
その後、江戸の川開きの定番行事として、花火大会は広く行われるようになりました。
夏は暑いという日本の気候から生まれた夕涼み文化にも、花火大会はよくマッチしていたのですね。 このようにして、花火大会は「日本の夏の風物詩」となったのです。
花火の種類
花火のことを知ると、花火大会もより楽しくなります。
まず、花火の基本的な用語について知っておきましょう。
号数
打ち上げ花火の花火玉には、2.5号から30号までの大きさがあります。
一般的な花火大会では、3号から5号の花火が多く使われています。
花形と呼ばれる「10号玉」は格別
10号玉は、打ち上げ花火の中でも花形の作品です。
直径約30センチメートル、つまり一尺あるため「尺玉」と呼ばれることもあります。
地上300メートルの高さまで上がり、直径約330メートルの大輪の花を咲かせる花火です。
割物
花火が球を描く花弁の中に、1種類以上の芯を持たせたものが割物と呼ばれる花火です。
割物は、花火玉が破裂したときに、星と呼ばれる火を出しながら燃えていく火薬の粒が、広く飛び散るタイプの花火です。
打ち上げ花火といえば、多くの人がイメージする花火がこの割物といっても過言ではないほど、古来、日本にある定番の打ち上げ花火といえるでしょう。
ポカ物
割物に対してポカ物とは、花火玉が上空まで昇ったところでポカっとふたつに割れて、花火玉の中に詰められていた星が落ちていくタイプの打ち上げ花火です。
星が不規則に、回転しながら飛びまわる「蜂」と呼ばれるものや、光が柳の枝のようにいくつも落ちてくる「柳」などがあります。
自由玉
割物に花火師が新しく創造を行うのが、自由玉です。
伝統を守りながらも、斬新なチャレンジが行われています。
スターマイン
スターマインは速射連発花火とも呼ばれる、複数の花火を組み合わせて連続して打ち上げる花火です。
「玉屋」「鍵屋」は江戸時代の花火師の屋号
花火大会でよく耳にする「玉屋」「鍵屋」という掛け声ですが、実は江戸時代に活躍した、有名な花火師の屋号が起源となっています。
鍵屋の初代は鍵屋根弥兵衛という人で、今でいう奈良県から江戸に出てきて、花火師の仕事を始めました。
4代目になるころには、幕府御用達にまで発展を遂げた鍵屋から、のれん分けして誕生したのが、玉屋一朗兵衛の「玉屋」です。
その当時、夏の一大イベントとして行われていた両国の川開きでは、上流に玉屋、下流を鍵屋が担当し、それを眺めていた観衆はより美しいと感じた方の屋号を大声で言うという習わしがありました。
これが、現代にまで残る「かぎや」「たまや」の掛け声の起源です。
当時は鍵屋よりも玉屋の方が人気で、花火大会で叫ばれるのも「たまや」の方が多かったといいます。 しかし、玉屋は1843年に大火事を起こしてしまい、玉屋は家名断絶、江戸追放となってしまいました。
日本三大花火競技大会とは
毎年、花火業界全体の技術向上を目指して、花火競技大会というものが行われています。
全国花火競技大会 大曲の花火
今年で94回目を迎える「全国花火競技大会大曲の花火」は、秋田県大仙市で、2022年は8月27日に実施されます。
大曲の花火は、日本三大花火競技大会の中でももっとも歴史が古く、全国から選ばれた花火師しか参加できない、権威ある競技大会となっています。
コンクール形式で実施され、昼間に打ち上げられる「昼花火」のほか、「10号玉(割物)」「10号玉(自由玉)」「創造花火」の4部構成で実施されます。 各部門の勝者には経済産業大臣賞、総合優勝者には内閣総理大臣賞が贈られる、伝統ある花火大会です。
土浦全国花火競技大会
1925年、神龍寺の住職が航空戦死者追悼のために、霞ケ浦湖畔で花火を打ち上げたのを始まりに、それ以降90年以上続いているのが「土浦全国花火競技大会」です。
2022年に第91回を迎える土浦全国花火競技大会は、11月5日の開催が予定されています。
コンクール内容は「スターマイン」「10号玉」「創造花火」の3部門で構成され、各部門優勝者に内閣総理大臣賞が授与されます。
伊勢神宮奉納全国花火大会
1953年に神宮式年遷宮を記念して始まったのが、伊勢神宮奉納全国花火大会です。
2022年には70回目を迎える予定でしたが、2022年は新型コロナウイルス感染症の感染拡大予防のため、開催を見合わせることとなりました。
「打ち上げ花火」「スターマイン」の2部門で開催され、各部門の優勝者には「国土交通大臣賞」や「観光庁長官賞」が贈られます。
夏の夜を美しく彩る花火は、私たちの心を弾ませてくれる、夏には欠かせない存在です。
新型コロナウイルス感染症が落ち着いたら、また再び日本の夏の夜空に大輪の花を咲かせてくれることでしょう。