クリスマスが近づくと、街はきらびやかなイルミネーションに彩られ、あちこちから心躍るクリスマスソングが聞こえてきます。
子どもたちはサンタクロースを心待ちにし、大人もなんとなく気持ちが弾む、幸せな季節です。
でも、実際にクリスマスの起源を知っている人は、どのくらいいるのでしょうか。
クリスマスの起源
クリスマスを英語で表記すると「Christmas」という綴りになります。
「Christ」は、イエス・キリストのことで、「mas」は礼拝という意味の単語ですから、Christmasはイエス・キリストの誕生を思い起こし、祝うミサという意味です。
イエス・キリストの誕生日は、実は聖書には書かれていません。
ではなぜ、12月25日がキリストの降誕祭となったのでしょうか。
もともと、12月25日はローマでは冬至の日であり、冬至祭など盛大なお祭りが行われていました。
冬至は1年のうちで夜が一番長い日とされ、冬至の日を過ぎると少しずつ日が長くなり、夜が短くなっていきます。
この現象をローマでは「長く暗い冬が終わり、新しい世界のスタートする日」と捉え、冬至祭として盛大にお祝いしていました。
そして、時代の移り変わりとともに「冬至祭の日こそ、世界を照らす光であるイエスを思い起こす日としてふさわしいのではないか」と考えられるようになり、12月25日がキリストの降誕を祝う日と定められたのです。
サンタクロースは実在する?
クリスマスといえば、サンタクロースなしには語れません。
サンタクロースは、どのような人物なのでしょうか。
実は、サンタクロースのモデルは現在のトルコであるリキュアという地の司教だった、聖ニコラウスであるとされています。
ニコラウスは大変慈悲深い人柄で、貧しい三人の娘を持つ家庭に金貨を投げ込んで、幸せな結婚を手助けしたそうです。
ニコラウスは暖炉に金貨を投げ込んでいたことから「サンタクロースからのプレゼントは、暖炉のそばにある靴下に入れてもらえる」と言い伝えられるようになりました。
ニコラウスの行いは世界中へと広まり、ニコラウスの命日である12月6日は聖ニコラウスの日とされ、子どもたちへ贈り物をするようになったそうです。
現在も、ドイツやスイス、オランダといったドイツ語圏の国では、クリスマス・イブではなく、12月6日に子どもたちにプレゼントを贈るのが習わしとなっています。
この伝説が世界中へと広がり、アメリカで「聖ニコラウス」という言葉が訛り、「サンタクロース」と呼ばれるようになりました。
クリスマス・イブとは?
クリスマスは当日だけではなく、クリスマス・イブからお祝いをするのはなぜでしょうか。
実は、キリスト教における暦と、現在の暦に違いがあったことが、その理由です。
キリスト教には「教会暦」というものが存在します。
教会暦では「日没から1日が始まり、次の日没で1日が終わる」と考えられているため、教会暦で考えると、クリスマスは24日の夕方に始まるということになるのです。
こうした理由で、クリスマス・イブからクリスマスを祝うようになりました。
日本では国民的なイベントとして楽しむのが一般的
日本でも、古くからクリスマスは国民的イベントとして楽しまれてきました。
ただし、宗教的なものではなく、家族や恋人、友人たちと楽しむイベントとして捉えられています。
日本にクリスマスを広めたのは「フランシスコ・ザビエル」
フランシスコ・ザビエルは1549年にイエズス会の宣教師として、キリスト教を日本に布教した人物です。
ザビエルは1552年に日本で初めて降誕祭を行いました。
これが、日本におけるクリスマスの始まりとされています。
それ以降、徳川家康によるキリスト教禁教令などにより、クリスマスは一度途絶えます。
しかし、明治ごろから庶民の間で再び普及し始め、昭和に入ると国民的イベントとなりました。
クリスマスツリーの意味
クリスマスといえば、美しく飾られたクリスマスツリーを思い起こす人も多いでしょう。
クリスマスツリーとして使用されているもみの木は、旧約聖書でアダムとイブが近づくことを禁止された知恵の木の象徴でもあります。
海外では、本物のもみの木を飾り付ける地域もあり、ツリーの天頂に飾られている星は、イエス・キリストが誕生したベツレヘムの空に輝き、東方の三博士にキリストの誕生を知らせた「ベツレヘムの星」を模しているそうです。
クリスマス本来の意味を知って、優しい気持ちでクリスマスを迎えよう
クリスマスは大人にとっても子どもにとっても心躍る、楽しい季節ですが、その起源を知ると優しい思いが詰まった日であることを、より深く感じるのではないでしょうか。
今年のクリスマスも、ぜひ大切な人たちと、あたたかなひとときをお過ごしください。