店舗経営では、売上アップと同時に毎月かかる固定費を可能な限り抑えたいものです。特に夏場や冬など、エアコンの電気代が気になる経営者の方も多いことでしょう。
ここでは業務用エアコンの選び方や効果的な節電対策などについて解説しています。飲食店や美容室、クリニックなど、さまざまな業種で役立つ情報となっていますので、電気代削減を検討する際の参考にしてください。
エアコンの電気代はどうやって決まる?
業務用エアコンの効果的な節電対策のためには、「エアコンの電気代はどう決まっているか」を知ることが必要です。
エアコンの電気代は、次の式で計算出来ます。
電力量料金単価(円/kWh)×使用時間(h)×消費電力(kW)=電気代(円)
まず「電力量料金」は電力会社の定める料金になるので既にお得なプランへ加入している場合はこれ以上節約をするということは難しいです。「使用時間」についてはオフィスやお店の営業時間で決まってしまうので単純に短くして節約するということも難しいでしょう。しかし、「消費電力」についてはエアコン自体の性能や機能によって決まるのでエアコンのバージョンを見直し、消費電力をいかに抑えられるかが、電気代節約のポイントになります。
節電効果の大きい業務用エアコンの選び方
空調にかかる電気代の節約効果を最大限にするためには、業務用エアコンの選び方が重要となります。以下のポイントを参考に、節電効果の高い業務用エアコンを選びましょう。
省エネ性能で選ぶ
業務用エアコンは、省エネ法にもとづいてAPFと呼ばれる、エネルギー消費効率を表す数値が設定されています。
APFは、一定の条件でエアコンを使用した場合にかかる1kW(キロワット)あたりの空調能力を示しており、この数値が高い製品を選ぶことで、節電効果を大きくすることができるでしょう。
馬力で選ぶ
エアコンの空調能力をあらわす単位は、kW(キロワット)のほかに「馬力」が使われる場合もあります。馬力の高い業務用エアコンは、それだけ空間を冷やしたり、暖めたりする力が強いといえるでしょう。
ただし、狭い店舗に馬力の高過ぎる製品を選ぶと、逆に電気代がかさんでしまうケースもあるので注意が必要です。
面積で選ぶ
設置するフロアの面積に適したタイプを選ぶことが、節電対策には重要です。同じ面積でも常駐している人数が多い場合と少ない場合では、適切なkWや馬力が変わることもあります。
たとえば、飲食店など火を使う店舗の場合、小売店よりも高い冷房能力が必要となるでしょう。ネイルサロンのような小規模店舗の場合は、家庭用エアコンで事足りるケースもあります。
最適な業務用エアコンの条件は店舗の広さや用途によっても異なりますが、家庭用エアコンよりも耐久性に優れて馬力が高く、多くの電力を使う特徴があります。そのため、家庭でエアコンを使用する場合よりも、節電対策をしっかり取ることが大切です。
今すぐできる!業務用エアコンの節電対策
すでに業務用エアコンを設置している店舗向けに、今すぐできる基本的な節電対策をご紹介します。
フィルターのこまめな掃除
フィルターのこまめな掃除は、エアコンの節電対策として、簡単かつ大切な方法の1つです。家庭用に比べると、業務用エアコンはホコリがたまりやすく、フィルターが目詰まりを起こす原因となります。
フィルターが目詰まりしていると、綺麗な状態よりも同じ設定温度にするために多くの電力が必要となります。
最低でも数ヵ月に1度はフィルターを掃除して清潔に保ち、目詰まりを防ぐようにしましょう。
設定温度で長時間運転にする
エアコンは電源を入れてから、設定した温度に達するまでに多くの電力を消費します。何度も電源のオンオフを繰り返すよりも、一度設定した温度になったら長時間運転させる方が電気代を節約できるでしょう。
短時間だけ温度を下げたり上げたりしても、タイマーで設定温度に戻る機能や、一定の温度までは上下できないようにする機能などが搭載されたエアコンを選ぶのもおすすめです。
節電に適切な設定温度にする
環境省のホームページによると「夏の冷房時の室温は28℃を目安に、冬の暖房時の室温は20℃を目安にしましょう」と記載しています。業務用エアコンの設定温度を、夏場は1度高くすることで約13%(約70W)、冬は1度低くすることで約10%もの消費電力を削減できるようです。
火を使う飲食店など業種によっては難しいかもしれませんが業務に支障のない程度に温度設定をし、電気代節約を目指しましょう。
※参考
https://ondankataisaku.env.go.jp/coolchoice/setsuden/office/saving01.html
電気の契約プラン自体を見直す
エアコン製品選びや日常的な対処、メンテナンスに加え、電気契約のプラン自体を見直してみるのもよいでしょう。
飲食店など業務を行う建物では電力会社との契約では、契約kW(キロワット)またはkVA(キロボルトアンペア)やA(アンペア)のように契約容量に合わせた基本料金と、使用量に応じた従量料金で電気代が決まるのが一般的です。
使用量に至っては電力を使った量が大きくなればなるほど、段階的にkWh(キロワットアワー)※1あたりの電気代単価が高くなってい行く仕組みとなっています。
※1 kWh(キロワットアワー)とは、1時間単位で使用した電力量のことで、一般的な電気代の使用料金部分は「kWh×料金単価」で計算され、料金単価は一定以上の使用量毎に変動します。
エアコン以外にも、業務用家電や専用機材、照明など、商売を営む店舗では一般家庭よりも多くの電力を使いがちです。
新電力会社では、基本料金が無料の契約プランや、電力をたくさん使っても単価が一律であるなど、さまざまなプランが用意されています。エアコンの使い方やメンテナンス以外でも電気代削減対策に取り組みたい場合は契約プランの見直しや、新電力会社への切り替えを検討してみるのもおすすめです。
定期点検やメンテナンスを実施する
フィルターの掃除をしていても、設定温度では思うように冷暖房機能がはたらかない場合は、専門業者による定期点検やメンテナンスを受けるようにしましょう。
誰でも掃除できるフィルターは、室内側の表面に出ている部分だけとなるため、内部に汚れがたまってくると、エアコンの効きにくさや故障の原因となります。 メンテナンスは節電対策としても重要ですが、店内を快適な温度に保ち、ニオイや菌の繁殖を防ぐ観点からも、定期的に実施するのがおすすめです。
エアコンの買い替えを検討する
エアコンの使用年数が10年を超えている場合は、最新のエアコンに交換することで電気代の節約が期待できます。最新のエアコンは、10年以上前のものと比較すると節電性能がかなり向上しており、年間の電気代が10万円程度削減されたケースもあります。交換に伴うコストはかかりますが、ランニングコストが安くなるため、購入コストを早期に回収できることが期待出来ます。 もし古い業務用エアコンを使用している場合は交換について検討することをお勧めします。
まとめ
業務用エアコンの節電対策には、購入時に省エネ機能があり、面積に合った馬力を持つ製品を選ぶことが重要です。購入後はこまめな掃除をし、オンオフを頻繁にせず長時間運転で使用する、定期点検を実施するといった対策を取りましょう。エアコン以外の電気代も下げたいなら、電力プラン自体を見直してみる方法もおすすめです。 「夏冬に電気代がかなり高くなる」「エアコンを買い替えたのに電気代が変わらない」といった場合は、シミュレーションなどを利用して、新電力会社への切り替えも検討し、今の電気代よりも安くなるプランがあるかチェックしてみるとよいでしょう。
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