飲食店などの店舗経営では家賃から人件費、水道光熱費のほか、多くの経費がかかります。こうしたコストをいかに抑えるかが店舗経営を成功するためのカギとも言えます。特に電気料金は契約の仕方でコストカットが可能になるので、経営者の方は電気の契約には特に注意が必要です。そこで電気の契約にはどのような種類があるのか、さらに注意点などについて解説します。
電気契約の種類と特徴
電気は発電所で作られるとさまざまな変電所を経て使用される場所に適した電圧に変えられ電気が提供される仕組みになっています。電気には低圧電力(従量電灯)、低圧電力(動力)、高圧電力と3つの種類がありますが、それぞれ適した施設や使用方法があるので、その特徴について確認し、自分の店舗に適した電気はどれか確認してください。
低圧電力(従量電灯)
低圧電力とは一般家庭や小規模店舗などに提供される電力で最終的に電柱にある柱上変圧器(トランス)で100V(ボルト)と200Vまで電圧が下げられ一般家庭や店舗などに電力が送られて使用されます。
法令では低圧電力は直流で750V以下、交流で600V以下と定められており契約電力が50kW未満のところに提供されます。
低圧電力(動力)
店舗などの施設では業務用冷蔵庫や業務用エアコンなど一般家庭よりも大型の電気機器を使用します。業務用電気機器は大きな電気が必要になりコンセントが4つ穴で三相200Vのものが多いのが特徴です。4つ穴三相200Vの電化製品は通常の低圧電力などでは動かすことはできないので、4つ穴三相200Vの電化製品を使用する店舗は低圧電力と一緒に動力を契約する必要があります。
高圧電力
高圧電力は直流で750V超7,000V以下、交流で600V超7,000V以下と法令で定められた電力のことを言います。契約電力が50kW以上となり、飲食店や美容室などの店舗から事務所、幼稚園や保育園、スーパーマーケット、工場などさまざまな商業施設に適しています。高圧電力では施設に電気を引く場合は施設内に「キュービクル」というキュービクル式高圧受電設備を導入し電圧を100Vと200Vまで下げて電力を送電する必要があります。
電圧が7,000Vを超えるものは特別高圧電力と言われますが、これは大規模工場向けの電気です。特別高圧電力を使用する場合は施設に電線を引き電気主任技術者を配置する必要があります。
お得な電力の選び方
毎月の固定費である電気料金は店舗経営成功の重要な要素です。電気代を効果的にコストカットするためにも電力も上手に選びましょう。
1ヶ月あたりの電気使用料で検討する
- 電気料金が一般家庭程度なら
電気料金が2万円以下などの店舗の場合は一般家庭と電気使用量がさほど変わりがありません。この場合は基本的に低圧電力(従量電灯)での契約で十分と言えます。 - 電気料金が3万円を超える場合は
電気料金が3万円を超える場合は動力の契約も検討しましょう。電気の契約では、動力契約のほうが従量電灯契約より基本料金は高めに設定されています。しかし、単価そのものは動力契約のほうが安くなっています。そのため、稼働時間が長い飲食店舗や美容室などでは動力契約をした方が電気料金を安く抑えることが可能になります。 - 大規模施設は高圧電力を
コンビニエンスストアやスーパーマーケット、ファミリーレストランのように大きめの施設は高圧電力が適しています。特に工場などは高圧電力での契約が必要不可欠と言えるでしょう。ただし、高圧電力を契約するには施設内に自家用変電器「高圧受電設備(キュービクル)」を導入しなくてはいけないので注意が必要です。設置費の他、さまざまな固定費もかかります。もちろん特別高圧電力を採用する場合はさらに多くの費用がかかります。こうした費用も含めてほかの契約方法との長期的な比較検討を行ってください。
電力会社選びも重要
- まずは電力会社に相談を
店舗に必要な電力は店舗の規模や稼働日数、業種、電気機器の種類、エアコンの稼働状況など多種多様な要因で決まります。各電力会社ではお客様の業種や規模などにあわせてさまざまな電力プランを用意しています。まずは電力会社にどのようなプランがあり、電気料金がどの程度かを確認しましょう。 - 新電力会社のプランも確認
現在は電力小売りの自由化により、大手地域電力会社以外の多種多様な業種から多くの会社が電力小売業界に参入しています。新電力会社によっては、大手地域電力会社よりも総合的に割安なプランを提供している会社も珍しくありません。
大手地域電力会社だけでなく複数の新電力会社のプランも必ず確認しましょう。
店舗に適した電力の契約を
電力には低圧電力(従量電灯)、低圧電力(動力)、高圧電力の3種類があり、さらに特別高圧電力もあります。従量電灯は一般家庭や小規模店舗、動力は4つ穴三相200Vの電化製品を使用する店舗など、高圧電力は大規模店舗などに適しています。 店舗経営で電力をコストカットするには、自分の店舗に適した電力契約を選ぶことが必要不可欠です。電力会社を選ぶ際は、新電力会社などさまざまな会社から自分の店舗に最適な電力プランを選択することが店舗経営成功のカギと言えます。